東洋医学とは

漢方薬

皆様 ごきげんよう
症状に応じた漢方についてお話ししてきましたが、東洋医学と現代の医学では、どのように違うのでしょうか。

現代医学

現代の医学は解剖学、生理学などの見地から人体を考えていきます。
組織、血液、リンパ液など局所的に分析。病気のところを治すことに注目
検査で現れない異常は病気とは考えません。

東洋医学

東洋医学は人体を全身が関係するものと捉え、局所的なものか、全体のバランスが乱れたものか考えます。
検査で現れない不定愁訴も改善していこうとしていきます。身体全体で考え、それぞれの方に合わせた治療をしていくのです。
東洋医学は、気、血、津液、五臓六腑を関連させて考えていきます。
例えば眼精疲労も、眼精疲労のつぼに鍼を、そして目と関係する肝に、気と血のバランスを考えていきます。

東洋医学の治療方法には経絡とツボに刺激を与える鍼灸、生薬の効果を利用した漢方、食材の薬理作用をつかった薬膳、他にも按摩、指圧,気功などがあります。

漢方とは

 漢方薬は植物や鉱物などの天然の素材で作られた生薬を組み合わせたものです。複数の有効成分が組み合わされることで、相乗的、抑制的に働くのが漢方の特徴です。

漢方はどのように治療するのでしょうか?
弁証論治という方法で治療していきます。患者様の体質 抵抗力、症状全てを合わせて考えていきます。
ですから、同じ症状でも体質が違えば薬は違います(同病異治
症状が違っても背景が同じであれば同じ薬を違う時もあります(異病同治
病因を分析、治療方針、処方を決定していきます。

漢方薬は2-10種類くらいの生薬で構成されていて、毒性を抑え、薬効を最大限にするようにできています。

漢方薬の効能分類は上品、中品、下品に分かれています。
上品;穏やかな作用で長期服用しても副作用が少なく、全身の調子を整える
中品;穏やかな作用で短期間なら副作用も少なく、新陳代謝を高め、外邪を
   除く
下品;薬効も強いが副作用もあり、服用量、期間に注意が必要。


薬の組み立ては君臣佐使で配合されています。
君薬;主の薬
臣薬;君薬を助け、佐薬と使薬をみる
佐薬;君薬の補助と作用の行きすぎを抑える
使薬;薬物の働きの調和をする

生薬とは

民間薬、生薬の違いはなんでしょうか?
民間薬はドクダミのように、昔から民間で伝承されてきたものです。
生薬は中国最古の薬物学書「神農本草経」には、365種の生薬が効能別に分類したもので、実際に毒性を試したものです。

生薬の内容
1)花      菊花 紅花 金銀花 丁子のつぼみなど
2)樹皮     黄柏 桂皮 厚朴 杜仲など
3)根      甘草 黄連 葛根など
4)果実     五味子 山梔子 大棗 枸杞子など
5)葉 茎    艾葉 紫蘇葉 麻黄
6)鉱物 貝殻  石膏 牡蛎 蝉退 鹿茸 など 


生薬には薬性、五味(身体を温めか、冷やすか)、薬味(身体にどのように作用するか)帰経(薬効はどの臓器、経絡に効くか)という性質があります。
五性は身体を温めるか冷やすかを表すもので、温めるものから、熱性、温性、平性、涼性、寒性に分類されます。


帰経とは、生薬には効果が発揮される臓腑、経絡が決まっている適応範囲をいいます。


五味とは、生薬の味により、類似の効能を持つ傾向があるというものです。
酸;酸っぱいもので、肝と関係。収斂、固渋の働き
苦;苦いもので、心と関係。熱邪や湿邪を摂る働き
甘;甘いもので、脾と関係。滋養、中和の効果がある。
辛;ピリ辛いもので、肺と関係。行気、活血の働き。
鹹;塩辛いもので腎と関係。寫下、軟化の働き。

次回は漢方にも副作用があること、漢方薬の飲み方について書かせて頂きます。
酷暑の毎日、胃腸の調子、冷えに注意してお過ごし下さいませ。

投稿者プロフィール

ゴールデンミーン
東京都在住。
薬剤師、健康管理士など

趣味;ヨガ、自然の中にいる事