漬物

その他

皆様 ごきげんよう

コロナウイルスの自粛が解除になり、町に少しずつ活気がもどってきました。
このまま 以前のような生活ができるようになったらと祈るばかりです。

今日は発酵食品の中でお漬物について書かせて頂きます

漬物の歴史


  世界最古の漬物は6世紀中ごろの中国の農業技術書に野菜に穀物を加え
  て塩漬けにする方法が書かれています。
  日本では、奈良時代の文献や平城京の木簡に瓜などの塩漬けのことが書
  かれています。日本の漬物は長い歴史があると思われます。
  室町時代から江戸時代になると香の物屋と言われるお漬物屋さんが出て
  きます。

漬物の分類



  作る過程で発酵を伴うかどうかで、発酵漬物と無発酵漬物に分かれます
  乳酸発酵させた漬物は乳酸発酵漬物、あるいは塩漬け、ぬか漬け、麹付
  けなどです。
  無発酵漬物は発酵せず、酢や醤油に味付けしたもので、梅干し、福神漬
  け、などがあります。
  最近は発酵させず、調味液で発酵したような味漬けをしているものもあ
  ります。

発酵漬物の製法


  塩分を含む漬け床に野菜を漬けると、浸透圧で野菜の細胞膜が破れ成分
  がでてきます。表面についている乳酸菌は野菜からでた糖分を栄養で増
  え、乳酸や香気成分が生まれるのです。
  乳酸菌や酵母菌は嫌気性菌(空気が少ない方が働く)なので、空気にふ
  にくくすることが大切です。
  また乳酸菌の乳酸が酸性なので腐敗菌を抑える事ができるのです。

漬物と健康機能



 ●ビタミン
  野菜は漬物にすると、ビタミンが増えます。
  例えばきゅうりのビタミンB1は糠漬けにすると、5-10倍に増えま
  す。また 生で食べる事が多いので、熱で栄養素が失われることがない
  のです。
 ●食物繊維
  漬物は塩の浸透圧で水分が抜けているので、生のものより食物繊維が
  2-4倍とることができます。
  食物繊維は腸の動きを助け、腸内の悪玉菌や有害物質を排出する働き
  があります。
 ●ミネラル
  またミネラル、とくにカルシウムが多く含まれています。
  カルシウムは日本人が不足しやすい栄養素です。
 ●整腸効果
  発酵漬物の中に含まれる乳酸菌は、プロバイオティックとして腸内の
  善玉菌を増やし、悪玉菌を抑える効果があります。腸に届く菌だけでは
  なく、菌の死骸や食物繊維も善玉菌のえさになり腸内細菌のバランスを
  整えてくれるのです。
  免疫機能やコレステロールのコントロール、高血圧の予防に効果があり
  ます。

日本の漬物



  日本は世界でも漬物の種類が多い国です。野菜だけではなく、魚、肉な
  どまであります。漬け床も醤油、酢以外に、麹、糠、酒かす、味噌など
  があります。漬け床がこんなにあるところはありません。
  漬け方も一夜漬け、浅漬け、古漬けと材料に合わせていろいろあります
  製法も下漬け、本漬け、二度漬けと何度も手をかけて漬けるのも日本の
  特徴でしょう。
 ●糠漬け
  米糠と塩水で乳酸発酵させたぬか床に野菜などを漬けたものです。
  米糠にはたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が多く
  まれています。
  糠漬けは糠に含まれるビタミン、ミネラルが野菜に移り、生で食べるよ
  り栄養が豊富になります。
  また ぬか床を繰り返し使える事も便利です。毎日かき混ぜて、微
  生物のバランスを保つことも大切です。
 ●麹漬け
  米麹や米を漬け床にします。糠漬けと同様に日本でよく食べられていま
  す。
  三五八漬けは塩と米麹と米を3:5:8で混ぜた漬け床に野菜を漬けた
  ものです。東北などでよく食べられ、野菜以外にも、魚や肉を漬ける
  事があります。塩麴もここからできました。
  べったら漬け
  東京名物 べったらは塩で下漬けした大根を米、米麹、砂糖で本漬けし
  たものです。あまり保存は長くありませんが、甘味と歯触りがいいので
  人気です。日本橋でべったら市が開かれます。
 ●塩漬け
  塩漬けは漬物の中でも歴史が長く、漬物の原点と言われます。
  すぐき漬け
  冬の京都で作られます。かぶの1種の酸茎菜を塩だけで漬けて乳酸発酵
  させたものです。すぐき漬けからラブレ菌(植物性乳酸菌)が発見され
  ました。さわやかな酸味が美味しいです。
  しば漬け
  なすなどの夏野菜と赤しそを塩だけで漬けたものです。乳酸発酵させた
  漬物ですが、最近は発酵をさせない風味付けもあり、生しば漬け、発酵
  しば漬けと表記されていますので注意しましょう。
 ●粕漬け
  粕漬けは日本酒を作る時にでる酒かすやみりんを作る時にでるみりん粕
  に野菜、果物、魚、肉などを漬けた物です。
  発酵ででたうま味成分があり、魚などの生臭さが消えます。
  奈良漬け
  白瓜などの野菜を塩漬けにした後、酒かすを繰り返し漬け込んだもの。
  酒の香りと深みのある甘味で人気です。
  奈良時代の木簡に「加須津毛瓜」と書かれています。
  わさび漬け
  静岡県の名産品で、わさびの根と茎を刻んで塩漬けした後、酒かすに漬
  けたものです。わさびの独特な風味が人気です。

世界の漬物



 ●アジア
  キムチ
  朝鮮半島の代表的漬物で、白菜、大根、きゅうりなどを、塩、とうがら
  し、にんにく、魚介の塩漬けで漬けた物です。
  日本にあるキムチは無発酵のものが多く、乳酸発酵したキムチとは異な
  ります。
  ザーサイ
  中国四川省発祥のザーサイ、ザーサイを乳酸発酵したものです。
  ザーサイを塩漬けして、天日干しして、山椒、唐辛子、酒などで漬けた
  ものです。
 ●ヨーロッパ
  ザワークラウト
  ドイツ生まれで、千切りにしたキャベツを塩や香辛料で漬けた物です。
  ドイツ語で酸っぱいキャベツの意味があり、酸味が強く、ソーセージや
  お肉などと一緒に頂きます。乳酸発酵漬物です。
  ピクルス
  欧米で昔からある物で材料の野菜は国によって違います。
  イギリスでは玉ねぎ、にんじん、カリフラワー ゆでたまごも、、
  アメリカでは小さい胡瓜が多いようです。
  野菜を塩漬けし、乳酸発酵したものです。

糠漬けの作り方


材料
生糠(炒り糠) 1kg
水       1ℓ
天然塩     100g
乾燥昆布    1枚
乾燥唐辛子   1本
野菜      適量

作り方
1)水を沸騰させて塩を入れ、溶けたら冷ます
2)ボールに糠を入れ、塩水を少しずつ混ぜていく。耳たぶくらいの柔らか
 さにする。
3)殺菌消毒した容器に糠を入れ、こんぶと唐辛子を入れる
4)捨て漬けをする。皮などの食べないところを漬けてぬか床に水分と栄養
  を与える。1日ごとに新しくして3日間行う。
5)本漬けする。食べたい野菜に塩をすりこんで漬け込む。
  人参、大根などは半分にすると味がしみこむ。

漬ける時間;半日ー1日
保存;ぬか床は冷暗所で保存して、1日1回混ぜる。
   長期留守の時は野菜を全てとって冷蔵庫で10日、それ以上は冷凍庫
   で保存、解凍は常温で自然解凍。
注意;ぬか床が柔らかくなったら、少し糠と塩を足して味噌くらいの固さに
   する

糠漬けは身体にいい事はわかっていても、毎日手入れすることや匂いでなかなか始められないところが現実です。
糠漬けを毎日つけている方は、お元気で、手がすべすべな印象があります。
今日は大好きな野沢菜漬けを頂きましょう。
日本に古くから伝わるよい食文化を大切にしていきたいと思います。



  

  

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